ネットの風評被害・誹謗中傷の実例と企業に与える影響
かつてはネットで情報発信をするにはホームページを開設するしか手段がなかったのが、今やあらゆるメディアで誰もが情報発信をすることができます。
ブログ、SNS、2ちゃんねる、各種口コミサイト…枚挙にいとまがありません。
ネット上の風評被害とは例えばどのようなものがあり、企業または個人にとってどのような被害があるのでしょうか。
ケース①
「ブラック企業」
これはネット風評被害の中でも頻繁に起こる問題です。
長く続く不景気の中、厳しい予算や人手不足の影響でどうしてもサービス残業が増えてしまうことはどの会社にもあり得ます。
それに耐えられず会社を辞めていく人は後をたたず、そうした人たちは会社への恨みから、匿名掲示板や転職情報サイトにそうした情報を書き込み続けます。そうなるとその企業が「ブラック」であるとの書き込みは一気に拡散し、その企業はその後採用に困難を極め、また一般消費者向け商品・サービスを扱っていればブランドイメージも失墜し、売上はみるみる低迷する結果となります。
ケース②
「食中毒」
飲食店やホテル、結婚式場などに大打撃を与えるニュースです。
食中毒が起きてしまったこと自体は事実であり、厳密には「風評」ではないのですが、それが業務を改善し本来であれば人々から忘れ去られるところ、ネット上にはそれに関するニュースや口コミが残り続け、いつまでも客足が戻らないというパターンがあります。これはネットによって引き起こされた事象ですから、広義の「ネット風評被害」と言えるでしょう。
ケース③
「逆恨み」学校の先生や大学教授などにしばしば起こるトラブルのようです。
例えば、単位をくれなかった教授などを逆恨みした学生が、匿名掲示板や学生向け口コミサイトなどで、教授を名指しで「セクハラをした」などとあらぬ書き込みをするケースがあります。
教授にとっては、寝耳に水の話ですし、この書き込みを家族が見るなどしたら家庭崩壊の危機に陥ります。
ケース④
「業務妨害」
ある企業の営業担当者が、大型案件を受注するため、コンペ相手である競合他社や、営業担当者の悪評を匿名掲示板や口コミサイトに書き込むことがあります。
提案する企業は、提案書ではいいことばかり言うのが普通ですから、クライアント企業も自分たちなりに情報収集をして判断材料とします。
その際に悪い評判を見つけたらその企業を選ぶ可能性は低くなるでしょう。
ケース⑤
「商品・サービスへの不満」
ある商品やサービスが著しく消費者の期待外れだった場合、消費者は怒りのあまり匿名掲示板や口コミサイトにその旨を投稿するでしょう。
口コミをネットで閲覧する消費者は、良い口コミは参考程度にしか見ませんが、悪い口コミは信じるものです。
従い、悪い口コミを投稿されることは、その商品・サービスが消費者に選ばれる可能性が著しく下がります。
ケース⑥
「従業員への不満」
ある店舗を利用した際に、従業員の対応に不満があった際に、従業員の実名を匿名掲示板や口コミサイトに投稿してしまう人もいます。かつて、従業員を土下座させ、その写真をTwitterに投稿した人が逮捕された事件もありました。
もちろんこうした行為は犯罪ですが、ネット上ではいつまでもネガティブな出来事として残り続けてしまいます。
いかがでしょうか。
誰にでも、どんな企業にも起こりうる問題であると思っていただけたと思います。
では、風評被害は定量的に見てどの程度の被害があるのでしょうか。
シエンプレ株式会社が行った、ネット風評被害が企業に与える影響の調査結果によれば、商品に関する悪評が出たときには43.7%が取引を再検討、9.7%が取引を停止すると回答しています。
また、取引先企業に関する状況を調査する際、関連キーワードにネガティブなキーワードが出てきた際には73.6%の人がネガティブなキーワードをクリックして詳細を調査すると回答しています。
誰もが投稿できる口コミが、これ程企業の意思決定に影響してくるとはなんとも恐ろしい話です。